AIが図書館に及ぼす影響

Artificial Intelligence © Shutterstock人工知能(AI)はすでに私たちの職場や家庭に深く入り込んでいます。工場では、ロボットが人間と協働し、部品を運び、反復作業や危険な作業を行っています。また、家庭では、ロボット掃除機や、庭土の水分をモニターしたり洗濯用洗剤を自動的に再注文するデバイスなど、さまざまなAI機器が使われています。


こうした暮らしのさまざまな分野と同じように、AIはチャットボットという形で図書館にも入り込んでいます。チャットボットは図書館のウェブサイトに関する質問に対応したり、図書の返却日を知らせたり、図書館の関連リソースを利用者に提示したり、簡単な情報のリクエストに応えてくれます。将来的には、AIを活用することで、より刺激的な形で情報を関連づけたり、検索するようになるでしょう。図書館員は利用者がどのように情報を探し、利用しているのか熟知していますから、AIを利用したサービスの開発支援に積極的にかかわることができます。例えば、テキスト・データマイニングツールを内部のデータセットに導入したり、既存データから新たな知見を得られるようプロジェクトチームを支援したり、あるいはデータ可視化ツールを利用して、文献間に意外な関連性を発見すっる手助けも可能です。館内の情報の流れを観察・調査することで、まったく新しい方法で情報が変換され、利用されるポイントを特定できるのです。

すでに機械学習や音声・画像認識テクノロジーは、デジタルコレクションの解析、トピックと対象物の特定、メタデータの割り当て、テキストデータ以外のデータの検索と発見に利用されています。例えば、機械学習を利用して分類体系を強化し、検索の再現率と精度の向上が図られています。Springer Nature SciGraph Explorerなどのデータ可視化ツールを利用すれば、概念、研究者、研究機関の間にある意外な関連性を特定することも可能です。かつてはインフォプロがカスタムサーチエンジンを構築し、LibGuidesを開発しましたが、今は図書館員もAIを応用した新たな知識発見ツールの設計に積極的に参加し、最良の情報を新しいツールに生かすことができます。

今後、AIは図書館利用者の情報ニーズに対応できる新たな能力を発揮し、図書館はAIツールを利用して、情報だけでなくディープインテリジェンス、すなわち「サービスとしての知見(IaaS, Insight as a service)」を提供できるようになるでしょう。またユーザーグループに関連のあるツールを特定し、IaaSの提供に備えることができます。Nature Machine Intelligence1)やIntelligent Technologies and Robotics2)イーブック・コレクションなどを情報源とすることで、AIと関連テクノロジーのトレンドについて幅広い視野が得られることでしょう。

AIが情報処理と検索の方法にもたらす影響は計り知れません。情報担当者はこのテクノロジーを利用してサービスを向上させ、ユーザーがより簡単かつ迅速に特定の情報を探し出し、アクセスできるよう支援することが可能になるでしょう。詳しくはAIに関する最新の白書を以下よりご覧ください。

インフォプロと人工知能:白書ダウンロード(Mary Ellen Bates) 

Mary Ellen Bates氏について


1) Nature Machine Intelligence
変化のめざましい人工知能(AI)や機械学習、ロボット工学の分野における原著論文や総説を掲載するオンライン限定ジャーナルです。本誌はまた、こうした分野が科学の他の領域や、社会・産業の多くの側面に与え始めている大きなインパクトについて調べ、議論します。

Nature Machine Intelligence

2) イーブック・コレクション Intelligent Technologies and Robotics
2019年に375タイトルを所収して新たに登場した、Intelligent Technologies and Roboticsコレクションは、確立された知識だけでなく、最先端の研究を様々なブック・タイプで提供します。ハンドブックやテキストブックは、最先端の研究成果を一望するに理想的な情報源となり、モノグラフやプロシーディングは、ラボから学術会議まで、様々な研究コミュニティが発信する最新研究を伝えてくれます。更に詳しく
SpringerLinkのIntelligent Technologies and Roboticsコレクションへ
 

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