シュプリンガー・イーブックス 利用者の声 :東京大学 大学院工学系研究科 原子力国際専攻 教授 石川 顕一 先生

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電子書籍を研究の場で使いこなされている、東京大学工学部の石川顕一教授にお話を伺いました。石川先生のご専門であるアト秒科学のご紹介のほか、普段の研究活動でどのように電子書籍を使われているのか、冊子との違い、電子書籍から得られた成果などについてお話しいただいています。


スピード感ある研究活動を実現、そして成果へ

Q.石川先生が研究されているアト秒科学とは何ですか?

高強度のレーザーに照射された原子や分子は、トンネルイオン化(図1)や高次高調波発生(図2)と呼ばれる極度に非線形で興味深い振る舞いを示します。しかしこれらの現象はとても複雑で、実験だけでは解明できません。そこで私の研究室では、高強度レーザーやアト秒の超短パルスに照らされた原子や分子の中で、電子がどのように動くのかを量子力学に基づいた第一原理計算で理論的に解き明かそうとしています。私たちの研究成果は電子の動きを観測したり、自由自在に操ったりする究極のテクノロジーにつながります。

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Q.普段どのように電子ブックを使っていますか?

私の研究は実験装置に縛られないので、国内外のいろいろな研究者を訪問して共同研究を進めています。出張に必要な専門書を何冊も持っていくのは重くて大変ですが、電子ブックであれば iPad に何冊でも入れて持っていけます。
例えば、東北大学の先生と長年共同研究をしているのですが、ディスカッションを進めるうちにアイディアが浮かびました。その時に電子ブックを用い、必要な理論や公式などを調べて、すぐに新しい理論を組み立ててシミュレーションすることができました。議論が途切れることなくスピード感をもって共同研究を進めることができています。

Q.電子ブックを使うようになった現在と以前とでは変化がありましたか?

以前は学会会場でディスカッションしたり、懇親会で立ち話をしたりする時に「あ、そのことだったら、あの本に書いてあったから明日オフィスに帰って調べてメールしますよ」ということがよくありました。けれども、結局忘れてメールしないこともありました。今なら、すぐに電子ブックを調べて、その場でアイディアを面白い研究へと、そして成果へと結びつけることができるようになりました。

Q.今後、電子ブックに期待することはありますか?

紙の本には、何気なく手に取った本から発見があったり、違うページを比べながら読んだり、何冊かの本を並べて比較したり、そういういいところもあります。ソフトウェアが改良されれば、紙の本のいいところが電子ブックにもどんどん取り込まれていくのではないかと。冊子でできることが電子でも実現できることを期待しています。

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* 所属、タイトル、研究内容や製品名はインタビュー当時のものです


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