シュプリンガー・イーブックス 利用者の声:杏林大学 医学部 薬理学教室 櫻井 裕之 先生

EBT001_Gutenberg_blue_CMYK

杏林大学医学部の櫻井裕之先生にお話を伺いました。杏林大学は、シュプリンガー・イーブックスをパッケージで導入され、研究、教育の現場でご活用頂いています。
櫻井先生には、電子書籍を使った実験・研究の実例をご紹介頂き、電子書籍の利点についてお話しいただくとともに、領域融合が始まっているこれからの科学における電子書籍について、展望をお伺いしました。

学問の領域融合に対応できる「知のベース」への期待

Q.櫻井先生のご研究について紹介してください。

内因性物質を細胞の中に取り込む時、輸送体を使って取り込まれることが多いわけですが、輸送体にはどのようなものがあるか? また、輸送体をターゲットに何か創薬できないか、というような研究をしています。
さらに、輸送体が多数発現する場所のひとつに腎臓があげられます。腎臓がどうやってできてくるかという研究を、アメリカ時代からずっと続けています。

Q 電子ブックを使った研究の具体例をご紹介ください。

尿酸が胎盤でどのように扱われているかということに興味を持って研究し、その成果が最近Physiological Reportsというオープン・アクセスのジャーナルに出版されました(DOI: 10.14814/phy2.12013)。
尿酸を運ぶ輸送体(トランスポーター)は1種類だけではありませんから、多くのトランスポーターを調べていかなければなりません。そういう実験の計画を立てる時、過去の論文なども参考にしますが、ジャーナル論文はどうしても狭い分野に限られてしまいます。また、教科書を見ても、大雑把な記述しかありません。それでシュプリンガーのeBookのリストを眺めてみましたら、ドラッグ・トランスポーターを扱っているeBookがあり、トランスポーターの総説として、ミカエリス・メンテンのKinetics に従って基質が運ばれるなどということが書いてあるわけですね。それを参考にしまして、実験を組み立てて、研究を続けました。生理学的にちょっと広い立場から、今何が起こっているのだろうか?というのを解明していくのに、レビューだとかモノグラフ、まさにこの電子ブックが扱っているこういった領域の本があると非常に実験の計画が立てやすい。今回の論文では、そうした点で、電子ブックが非常に役に立ちました。

New Content Item

Q.利用者にとって電子ブックの利点は?

一つはやっぱりかさばらないことですね。普通の本ですと、どんどん部屋を浸食してきますが、電子媒体ならば、そういうことがない。また、シュプリンガーの電子ブックは1冊丸ごとダウンロードできますから、それをデスクトップに置いておくことができます。必要なときに参照することができますし、山積みになった中から本を探し出したり、本棚の端の方から持ってきたりするよりも、はるかに検索がしやすいうえ、ポータブルであるという利点もあります。私達は、データベースなども使うことがありますが、インターネットアクセスがなければ使えません。電子ブックはその点、デスクトップにダウンロードしておけばオフラインでも使えますので、便利です。タブレットのように持ち運びの便利なものであればこの部屋でなくても会議の時に使ったり、実験をしている人たちと、実験室でそれを見ながらディスカッションできる、そういったメリットがありますね。

Q.杏林大学で電子ブックをパッケージで利用する利点は?

電子ブックのパッケージはわりと広い分野のものを見ることができます。専門分野のものだけあればいいという声もありますが、それはジャーナル論文の役目でしょう。しかし、モノグラフといったような本は、教科書とジャーナル論文の間をうめるようなものと言いましょうか、きちんと編集されているためかもしれませんが、読みやすいし、わかりやすい。パッケージには、ある程度総説的にカバーできるようなモノグラフがありながら、それがかなり広い分野に散らばっている。ですから、何か新しいことが出てきたときに電子ブックのパッケージを見れば、何らかのものが引っ掛かる可能性が高いと思います。ですから、私自身はあまり詳しくない分野に入るときには、まず電子ブックのコレクションで何かいいのがないのかな?と探すのがルーチンです。

電子ブックのメリット

  1. 総説として優れている。(雑誌よりもきちんと編集されている)
  2. 広い知識が得られるので、実験の進め方の参考になる。
  3. ダウンロードできて持ち運びが便利。場所をとらない。
  4. 医学にかぎらず、幅広い電子ブックがあることは魅力である。

Q.今後の展望について、お聞かせください

医学生物学のように情報量が多い学問では、流行りのいわゆるビッグデータの処理が必要になり、数学や統計を避けて通れない時代になると思います。そのような周辺領域のベーシックサイエンスを広く含めたパッケージがあるといいですね。今、いろいろ学問の領域の融合が始まっています。それに対応できる、未来のサイエンティストのための「知のベース」としての電子資料が出来上がってくれれば一番いいかな、というふうに思っています。


杏林大学医学部薬理学教室へ

動画を見る

* 所属、タイトル、研究内容や製品名はインタビュー当時のものです