[プレスリリース] 政治的混乱があろうと、研究の国際協力はますます盛んに

米国と中国の間の研究協力がかつてないほど強固なものになっている一方、英国とEUの間の共同研究は停滞していることが、最新のNature Indexの特別冊子から明らかになりました。

ロンドン|シドニー|ニューヨーク 2019年11月22日

Nature Indexが収載するジャーナルに掲載された論文のうち、中国と米国の研究者間の共同執筆論文数は、2015年には3,413でしたが、2018年には4,631に増加しました。Nature Indexのデータからは、米国の研究者と最も頻繁に協力しているのが中国の研究者であることも明らかになっています。

対照的に、英国とEUの研究者間の共同執筆論文数の伸びは、2016年以降鈍化しています。ただし、著名な5つの論文誌(NatureSciencePNASNature CommunicationsおよびScience Advances)の共同執筆論文数は、2015〜2018年に36%増加しました。これらの結果とその意味については、Nature Indexの特別冊子「Collaboration and big science」で詳しく説明されています。

このNature Index 2019 Collaboration and big scienceは、国同士のコラボレーションを説明するデータを掲載しているだけでなく、共著者数が数千人にのぼる論文がいかにありふれたものになっているかを示しています。この傾向が特に顕著な分野は、大規模科学プロジェクトが一般的である高エネルギー物理学、遺伝学、腫瘍学などの分野です。今回のNature Indexのデータから、こうした分野で複数著者論文を最も多く発表しているのが、米国とヨーロッパの機関であることが分かりました。

Nature Indexの創設者であるDavid Swinbanks(デイビッド・スウィンバンクス)は次のように述べています。「政治的には関係が緊迫している地域や国の間でも共同研究が拡大し続けているという事実は、喫緊かつ国際的なプロジェクトを遂行するためには、研究における協力的なアプローチが今や必要不可欠であることを示しています。学際的なスキルと多様な視点を持つチームがなければ、ますます複雑化していく現代の課題に取り組むことは不可能です」。

Nature Index Collaboration and Big Scienceのテーブルおよび特別冊子は、こちらからご覧ください。

Nature Indexについて

2014年11月に初公開されたNature Indexのデータベースは、現役科学者からなる独立したパネルが選定した、82誌の自然科学系学術ジャーナルから出版される研究論文の著者の所属機関を記録しています。

直近12カ月のNature Indexデータが、natureindex.comにて、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で公開されています。これにより、世界150カ国の8500以上の機関から出され、それらの機関同士の共同研究による最新の研究成果を分析することができます。同ウェブサイトでは、特定の研究機関から直近12カ月間に出版された論文情報を主題別に整理された形で閲覧することができます。各機関の国際的・国内的な共同研究に関する情報も入手できます。データは、シュプリンガー・ネイチャーによって収集されています。

Nature Indexでは、研究成果発表数および連携の指標として以下の種類のカウント法を採用しています:

・Article count(AC)– 論文において、ある国ないし機関から1人でも著者として名前が挙げられていれば、その国ないし機関の論文1点(ACを1)として数える計算方法。その論文に著者が1人しかいなくても、100人の著者がいても、それぞれの著者の所属国(または機関)において論文1点として数えられることになるため、同じ1本の論文が、複数の国(または機関)においてACとして数えられることを意味します。

・Fractional count(FC)– FCは、ある論文に対する各共著者の相対的貢献度を考慮に入れる方法。論文1本につき最大FCは1.0です。この1点分を、共著者全員が等しく貢献したという仮定のもと、共著者間で等しく分けます。例えば、10人の共著者がいる論文の場合、各共著者はそれぞれ0.1分のFCを割り振られることになります。

・Bilateral collaboration score (CS) – CSは、2つの機関(A + B)に所属する各著者が貢献した論文における各自のFCの合計です。2機関連携は、Nature Indexにおいて追跡されているジャーナルに少なくなくても1つの論文を任意の2機関あるいは、国・地域間で共著しているものを示します。

この特別冊子では、10以上の独立した主要機関が関連する論文のみを集計し、Digital ScienceのDimensionsデータベースに収録されている論文の研究コードを使用して、物理学・天文学、遺伝学、腫瘍学・免疫学の分野に絞り込みました。

シュプリンガー・ネイチャーについて

シュプリンガー・ネイチャーは、研究、教育、専門領域において世界をリードする出版社の1つです。革新的なプラットフォーム、製品、サービスを通じて、高品質なコンテンツを提供しています。シュプリンガー・ネイチャーのインプリント、書籍、ジャーナルなどのリソースは、世界中の何百万人ものユーザーに日々届いており、研究者、学生、教師、専門家による発見、学習、成果の達成を支援しています。当社の目的は、傘下のブランドを通じて研究・教育・専門コミュニティーを支援することです。その実現のために当社はこれらコミュニティーを最優先に考え、可能な限り最高水準のコンテンツとテクノロジーを提供し、これらコミュニティーの利益と社会全体のために出版の未来に尽力しています。

詳しい情報は、springernature.com/group をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。

本件に関するお問い合わせ

宮﨑 亜矢子
シュプリンガー・ネイチャー
コミュニケーションズ
Tel: +81 3 4533 8204
E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

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