[プレスリリース] APCの資金源についてよりよく理解することで、オープンアクセスへの移行を加速させることができる

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最新の白書は、論文掲載料(APC: Article Processing Charges)*向けに現在利用可能なさまざまな資金についての理解を深めるために、シュプリンガー・ネイチャーの著者から得たデータや研究機関の代表者へのインタビューの分析結果を報告したものです。

ロンドン|ニューヨーク|ハイデルベルク 2020年4月6日

シュプリンガー・ネイチャーが発表した新しい報告書では、論文掲載料(APC)の資金源についてよりよく理解することで、オープンアクセス(OA)への移行が加速する可能性があることが示されました。「管理外(wild)」のAPCとは、特定や追跡が容易ではない資金源から資金を調達するAPC、すなわち一括管理される図書館や研究機関の予算外の資金の流れを指します。この白書は、シュプリンガー・ネイチャーの著者1000人以上を対象とした調査に加え、研究機関の代表者に対する16件のインタビューに基づいています。今回の調査の目的は、「管理外」の資金の流れの規模と、それがOA出版への移行に与える影響を探ることにあります。

主な調査結果:

  • APCの資金調達は、複雑である。著者は、幅広い資金源を使用しており、複数の資金源を組み合わせているケースも多い。
  • 特に、完全OAジャーナルにおいては、現在でもAPCの多くが「管理外」となっているため、APCの資金の流れをモニタリングすることが難しい。
  • 調査対象としたシュプリンガー・ネイチャーの著者のうち4分の1以上は、「管理外」のAPC資金源のみを使用している。さらに50%は、「管理外」のAPC資金源と、容易にモニタリング可能な資金源とを併用している。
  • 「管理外」のAPCを使用している度合いは、地域によってさまざまであり、OA方針や資金調達システムの違いによって異なる状況が生じている。
  • 50%以上の著者が、所属機関が自身のAPCをモニタリングできるとは思っていない。

シュプリンガー・ネイチャーのHead of Policy and Performance, Open Access, Jessica Monaghan(ジェシカ・モナガン)は、次のように述べています。「全体的に見ると、本報告書の調査結果は、OAへの移行を加速するためには、研究機関がAPCの資金源より包括的に把握することが有益であることを示しています。当社の調査結果から、著者は、APCに充当するために、各自の資金提供者からの資金や研究機関の特別予算など、図書館の予算外の資金を多く利用していることが明らかになりました。OA資金をモニタリング・追跡するワークフローが整備されれば、研究機関は複雑に組み合わさった資金源を適正に利用することができるようになると、私たちは考えています」

研究機関へのインタビューで得られた成功事例は、APCのモニタリングが実現可能であることを示しています。例えば、一部の機関では、著者が論文を受理された時点で図書館に連絡して、OA資金調達オプションに関する助言を求めることを義務付ける方針を定めているため、自機関の「管理外」のAPCの大部分のモニタリングが可能となっています。別の研究機関では、経理コードを通じて、APCの特定を可能にする財務ワークフローを構築しています。ただし、いずれのアプローチにおいても、高いレベルの調整とリソースへの投資が必要です。

今回のインタビューではさらに、変革的契約などの出版社OA契約は、資金の流れの一元化して、研究機関と著者双方の管理上の負担軽減をサポートするうえで、役割を果たしていることが認められています。資金調達に関する複雑な状況を見直し、図書館外の資金(研究助成金を含む)のモニタリングと追跡を強化すれば、これらを併用した資金を出版社とのOA契約の締結に活用したり、OA出版のための中央基金を創設したりすることが可能になるかもしれません。

シュプリンガー・ネイチャーのVice President of Open Access, Carrie Webster(キャリー・ウェブスター)は、次のように述べています。「当社は、より迅速なOAへの移行を実現するべく、全力で取り組んでいます。特に、OAへの移行を制限する障壁を克服することに重点を置いています。今回の調査結果は、APCのための支出をよりよく理解する機会、そして、効果的なモニタリングとメカニズムを通じて、「管理外」の資金源も含めた複雑に組み合わさった資金源を活用することで、こうした資金の流れを大規模なOAの資金とできる機会があることを示しています」

さらに、シュプリンガー・ネイチャーでは、研究機関の活動の全体像を把握することを目的として、APCのモニタリングを妨げる要因と成功させる要因を特定するためにさらなる調査を行うことを計画しています。

*論文掲載料(APC: Article Processing Charges):論文の査読の管理から、コピー・エディティング(原稿整理編集)および最終的な論文を専用サーバーでホスティング(登録)まで、公開プロセスの全ての段階にコストがかかるため、論文をクリエイティブコモンズライセンスに基づいてオープンアクセスで出版するために著者が支払う費用。

追加情報

APCs in the wild: exploring funding streams for an accelerated transition to open access」(管理外のAPC:オープンアクセスへの移行の加速に向けた資金の流れに関する調査)の白書には、こちらからアクセスすることができます。

シュプリンガー・ネイチャーについて

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本件に関するお問い合わせ

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※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

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