[お知らせ] オープンデータに対する世界の意識をまとめたThe State of Open Data 2020の報告書を公開

Springer Nature logo

シュプリンガー・ネイチャーは、Digital Scienceと提携し、オープンデータを扱う研究者の意識や経験を調査する今年で第5回目となる年次報告書を公開しました。

2020年12月9日

学術研究のためのオンライン・デジタル・リポジトリーであるFigshareは、年次報告書「The State of Open Data 2020」を発表しました。この報告書は、Figshare、Digital Science、シュプリンガー・ネイチャー、およびその他の主要な産業界と学術界の代表者との共同作業で作成されたもので、シリーズの第5弾となります。また、調査結果に加えて、グローバルな業界の専門家による記事が掲載されています。

The State of Open Dataは、オープンデータを共有し、再利用し、再配布するというオープンデータを扱う研究者の態度や経験を調査するために2016年に作成されました。また、このテーマに関する最長の縦断調査です。

今年の調査では、研究コミュニティーから約4500件の回答が寄せられ、COVID-19のパンデミックを受けての研究実践にも焦点が当てられました。この調査では、今回のパンデミックが研究者の研究遂行能力にどのような影響を与えているか、データの再利用や共同研究についての見解を伺いました。

COVID-19に関する主な調査結果:

  • アカデミアの研究者の3分の1(32%)がCOVID-19の発生により「非常に」または「かなり」影響を受けたと回答した。
  • COVID-19の影響を最も受けた分野は、化学(47%)、生物学(39%)、医学(36%)、材料科学(36%)であった。影響が最も低かったのは、人文社会科学(20%)であった。
  • 調査対象者の43%が、助成金をCOVID-19の研究にある程度再利用したことがある、または再利用する可能性が高いと回答した。
  • ロックダウンにより、回答者の半数が他の研究室から提供されたオープンデータの再利用する可能性が「非常に高い」または「やや高い」と考えており、65%が自分のデータを再利用すると予想している。
  • 研究者の3分の1以上が、COVID-19の影響によって、より多くの共同研究が実施される可能性があると回答した。ブラジルやインドのようにCOVID-19が研究に与える影響が大きい国では、約半数の研究者がCOVID-19によって、共同研究が増加すると予想している。

さらに、この調査では、データ管理計画(DMP; Data Management Plan)に関する項目も追加されました。助成金団体が世界中の多くの研究者に対して、助成金申請時にDMPの提出を義務付けるようになったことで、DMPを作成する研究者が大幅に増加しています。また、優れたデータ管理の基礎となるFAIR(Findable(見つけられる)、Accessible(アクセスできる)、Interoperable(相互利用できる)、Reusable(再利用できる))の原則が広く採用され、理解されつつあるという心強いニュースもありました。

そのほかの調査結果:

  • 「データ管理計画を立てない」と回答した人は、30%から15%に半減した。
  • 2018年には、60%の回答者がFAIRの原則を聞いたことがないと回答したが、今年はその数が39%に減少し、全体の認知度は、15%から24%に増加した。
  • 55%の回答者が、データの共有は助成金授与の要件の一部にすべきだと感じている。
  • 29%の回答者が、研究データをオープンアクセスにするための費用を誰が負担するか知らないと回答した。
  • 回答者のうち、研究者がデータを共有する際に十分な評価を受けていると感じているのはわずか13%であり、59%は評価が少なすぎると感じている。
  • 回答者の68%がデータの完全な引用こそがデータ共有の動機付けになると回答している。2番目に多かった2つの理由は、研究のインパクトと知名度の向上、およびデータを使用した論文の共著者としての地位の向上である。
  • 回答者の38%がデータの共有に関する最大の懸念事項は、データの誤用であると回答している。
  • データの誤用を懸念していると答えた人のうち、72%が最も懸念しているのは不正確な表現方法、つまり他の理論を裏付けるために特定のデータポイントを選択していることである。

今回の報告書の全文は、Figshareでダウンロードできます。また、#StateOfOpenData を使って共有することができます。

Figshareについて

Figshare は、ユーザーが自分の研究成果のすべてを、引用可能、共有可能、発見可能な方法で利用できるようにするためのリポジトリーです。Figshare の目的は、すべての研究者が自分の研究をオープンに利用できるようにする場所になることです。Figshare は、研究成果のための安全なクラウドベースのストレージスペースを提供し、ユーザーがより整理された方法で研究を管理することを奨励し、助成金団体の要件に沿って、簡単にオープンにすることができます。研究成果をオープンに利用できるようにすることで、学術界は、他の研究者の研究を真に再現し、そこから発展できるようになります。

詳細は、www.figshare.com をご覧ください。

Digital Scienceについて

Digital Scienceは、研究をより効率的にするために活動するテクノロジー企業です。当社は、研究プロセスのすべての部分をよりオープンで効果的なものにする革新的なビジネスと技術に投資し、育成し、サポートしています。当社のポートフォリオには、Altmetric、CC Technology、Dimensions、Figshare、Gigantum、ReadCube、Symplectic、IFI Claims、GRID、Overleaf、Ripeta、Writefullなどの賞賛されるブランドが含まれています。私たちは、共に研究者が変化を起こすのを支援できると信じています。詳細は、www.digital-science.com をご覧いただき、Twitter で @digitalsci をフォローしてください。

シュプリンガー・ネイチャーについて

シュプリンガー・ネイチャーは、175年以上にわたり、研究コミュニティー全体へ最良のサービスを提供することによって発見の進展に貢献してきました。研究者が新しいアイデアを公開することを支援するとともに、公開するすべての研究が重要で着実であり、客観的な精査にも耐え、関心を持つすべての読者にもっとも良いフォーマットで届き、発見、アクセス、使用、再利用、および共有されるようにします。私たちは、テクノロジーやデータの革新を通じて図書館員や研究機関をサポートし、学会に出版を支援するための優良サービスを提供します。

学術出版社として、シュプリンガー・ネイチャーは、シュプリンガー、ネイチャー・リサーチ、BMC、Palgrave Macmillan、Scientific Americanなどの信頼されたブランドを有しています。詳しい情報は、group.springernature.com をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。

本件に関するお問い合わせ

宮﨑 亜矢子

シュプリンガー・ネイチャー

コミュニケーションズ

Tel: +81 (0)3 4533 8204

E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本お知らせの原本(一部を除いて)は英語(Digital Science)であり、日本語は参考翻訳です。

英語プレスリリース

英語プレスリリース(一覧)

最新のニュース一覧へ