オープンリサーチとは?基本コンセプトと取り組み

よくある質問

1. オープンアクセスとオープンリサーチについて教えてください。

オープンアクセス(OA)とは、ジャーナル論文や書籍などの研究成果をオンラインで即時に無料で利用できるようにし、デジタル環境でフルに利用する権利も提供します。OAコンテンツはすべての人に公開され、アクセス料は無料です。
オープンリサーチは発表論文の垣根を超え、データからコード、さらにはオープン査読にいたる研究成果すべてを対象とします。

すべての研究成果を可能な限りオープンなものとしてアクセスできるようにすることにより、研究のインパクトを高めるとともに、世界で最も重要な課題の一部の解決に役立てることができます。


2. 研究成果をOAとして公開する方法を教えてください。

研究論文や書籍の著者は、できるだけ幅広い読者が自身の研究にアクセスし、利用できるようにすることができます。シュプリンガー・ネイチャーでは、最もオープンかつ制限の少ないOA形式である即時ゴールドオープンアクセス(ゴールドOA)をサポートしています。著者は研究成果を完全OAジャーナルに発表するか、ハイブリッドまたは転換ジャーナルに発表するか、あるいはOA書籍またはOAチャプターとして発表するか、いずれかの方法を選択することができます。

また、シュプリンガー・ネイチャーでは別の方法として、著者が購読ルートを通じて論文や書籍、チャプターを発表する場合に、受理原稿を著者個人のウェブサイト、または自身の資金助成機関や研究機関のレポジトリにアーカイブし、公開禁止期間後に公開することを認めています(グリーンOA)。詳しくはこちらをご覧ください。
 

3. OAを利用して発表するメリットを教えてください。

  • 引用数と利用数の増加: 調査によると、OA論文の閲覧数と引用数は、購読論文を上回っています。
  • パブリックエンゲージメントの強化: 購読型コンテンツにアクセスできない読者層にもコンテンツを提供します。
  • 学際的な対話の増加: 複数の学術分野にわたるOAジャーナルを通じ、研究者同士が関係を築きやすくなり、それぞれの研究の認知度を高めることができます。
  • 協力関係の拡大: 研究者はOA発表論文とデータを通じ、グローバル規模で協力研究を実施することができます。
  • 短期間でのインパクト: 研究者はCC BYなどのパーミッシブ・ライセンスを通じ、既存の研究を基盤とした研究を迅速に進めることができます。
  • OA義務の遵守: OAジャーナルとOA書籍は、おもな国際的な資金助成ポリシーを遵守しています。

4. CC BYについて教えてください。

Creative Commons BY(CC BY;クリエイティブ・コモンズ(表示))ライセンスとは、利用可能なライセンスのなかで最もオープンなものであり、OAに関する業界の「最高基準」であると考えられています。また、多くの資金助成機関からも推奨されています。CC BYは、原著者としての自身のクレジットを表示することを条件として、営利目的も含め、他者による自身の研究の配布や再編、調整、それを基盤とした研究を認めるものです。それにより、ライセンスを取得した資料の普及と利用を最大限に強化します。

OAオプションを提供しているシュプリンガー・ネイチャーのジャーナルは、すべてCC BYライセンスを提供しており、現在ではシュプリンガー・ネイチャーの完全なOAジャーナルの大多数で既定のライセンスとされています。さらに、OA書籍やOAチャプターに関しても、CC BYが既定のライセンスとされています。ほかのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスについては、リクエストに応じて提供しています。


5. OAに関する支払方法を教えてください。

出版プロセスでは、あらゆる段階でコストが発生します。そのため、著者に対し、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づく自著論文のOA出版に必要なOA料金の支払をお願いしています。シュプリンガー・ネイチャーでは、論文掲載料(APC;Article Processing Charge)もしくは書籍出版料(BPC;Book Processing Charge)(またはその双方)を対象とする助成金を著者が検索し、申請するための支援を行うOAサポートサービスを無料で提供しています。詳しくはこちらをご覧ください。


6. オープンデータについて教えてください。

シュプリンガー・ネイチャーでは、研究ファイルやコードをはじめとするすべての研究データを可能な限りオープンにすべきであると考えています。また、研究者が自身の発表論文の裏付けとなるデータを簡単に共有できるようにし、そのデータへのアクセスと再利用を可能にしたいと考えています。当社の研究データサービスとポリシーの詳細については、こちらをご覧ください。


7. プレプリントについて教えてください。

プレプリントとは、正式な査読を受ける前に公開サーバーに投稿された科学論文を指します。投稿後には、プレプリントは恒久的な科学的記録の一部となり、固有のDOIを用いた引用が可能となります。自身の研究を早い段階で共有すれば、フィードバックを受け、発見に関する優先権を主張し、研究の進展を早める機会が得られます。

「In Review」は、最も革新的なプレプリントサービスのひとつとして利用されており、論文の査読の進展度に関する最新情報をリアルタイムで提供します。 「In Review」とそのメリットについては、こちらをご覧ください。


8. オープン査読について教えてください。

オープン査読とは、査読者が査読レポートを公開するプロセスを指します。多くの出版社とジャーナルが、何らかの形でオープン査読を提供しています。その中には、1999年に査読を初めて公開した出版社のひとつであるBMCが含まれています。詳しくはこちらをご覧ください。


用語集

オープンサイエンスについて

オープンサイエンスとは、研究サイクル全体にオープンネスの原則を拡大し、可能な限り早い段階で共同研究を促進し、共有することです。これは、科学と研究のあり方を体系的に変えるだけでなく、より発見しやすく、使いやすく、効果的な研究システムをサポートし、知識の発見を発展させます。オープンサイエンスの中に、オープンアクセスとオープンリサーチを含みます。

ゴールドオープンアクセス (Gold OA)

出版社のプラットフォームにおいて、論文や書籍をゴールドオープンアクセスで出版するルートです。原稿編集(コピーエディティング)や組版後の最終公開版(VOR;Version of Record)。ゴールドOAで出版された論文は、掲載後直ちにオープンアクセスとなり、プラットフォーム上にて無料で閲覧可能となります。ゴールドOAの出版は、論文掲載料(APC;Article Processing Charge)や転換契約によって賄われています。
Reference: https://www.springernature.com/gp/open-research/about/green-or-gold-routes-to-oa

グリーンオープンアクセス (Green OA)

オープンアクセスのリポジトリーなどにアーカイブされた原稿。おもに、原稿編集(コピーエディティング)や組版前の査読後の著者の受理原稿のことを指します。エンバーゴ期間後にアクセス可能になります。
エンバーゴ期間:論文の受理原稿をグリーンオープンアクセスでリポジトリーなどに公開するまで著者が待たなければいけない期間。エンバーゴ期間は、ジャーナルによって異なります。

リポジトリー:論文、書籍、報告書などの学術的な成果を掲載し、保存するための機関などのデジタルプラットフォーム。
Reference: https://www.springernature.com/gp/open-research/about/green-or-gold-routes-to-oa

論文掲載料(APC;Article Processing Charge)について

オープンアクセス(OA)の論文に対するAPCは、査読からコピー編集、専用サーバーでの最終論文のホスティングまで、出版プロセスのすべての段階においてさまざまなサービスをカバーしています。これに加えて、こちらの料金により、論文がクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもと、オープンアクセスで公開され、すべての読者がすぐに利用できるようになります。
出版にはコストがかかります。購読ジャーナルは、コンテンツにアクセスするための料金の徴収によって出版費用がカバーされています。ゴールドオープンアクセスのコンテンツは、自由に利用できるため、費用は論文掲載料(APC)によって賄われます。
APCは、論文が受理されてから出版されるまでの間に支払われ、それぞれの出版社、ジャーナル、分野によってAPCが異なります。また、掲載料や出版料を学会などのスポンサーが負担することで、APCを徴収しないジャーナルもあります。
APCには、論文全文への永続的、即時的かつ世界中からのアクセスの提供に加えて、下記が含まれます。

  • 編集作業:査読、管理サポート、コンテンツの委託、ジャーナルの開発。
  • 技術的なインフラストラクチャーとイノベーション:オンラインジャーナルシステムやウェブサイトの開発、メンテナンス、運用。
  • 論文の制作:論文のフォーマット、マークアップ(タグ付け)、インデックスサービスへの登録。

Reference: https://www.springernature.com/gp/open-research/journals-books/journal-pricing-faqs
https://www.springer.com/gp/authors-editors/authorandreviewertutorials/open-access/article-processing-charges/10286526

ハイブリッドジャーナル(Hybrid Journal)

購読型ジャーナルのうち、受理された論文をゴールドオープンアクセスで出版するオプションを著者に提供するもの。オープンアクセスで出版する場合には、APCが発生します。

受理原稿(AM;Accepted manuscript)

ジャーナルで正式な査読が行われた後に受理された原稿。受理後に行われる原稿編集(コピーエディティング)や組版などがされていないバージョン。通常、受理原稿は、リポジトリーや著者のウェブサイトに掲載され、ジャーナルのウェブサイトには掲載されません。
Reference: https://www.springernature.com/gp/open-research/version-of-record

最終公開版 (VOR;Version of Record)

紙媒体および、またはオンラインでジャーナルに掲載されるバージョン。原稿編集(コピーエディティング)や組版など、査読が完了した受理原稿をできるだけ明快で理解しやすくするために編集が行われる原稿。通常、出版社のウェブサイトでPDFおよび、またはHTML形式で掲載されます。
Reference: https://www.springernature.com/gp/open-research/version-of-record

転換ジャーナル(Transformative Journals)

購読型ジャーナルやハイブリッドジャーナルを完全なオープンアクセスに移行することを公約するジャーナル。
Reference: https://www.springernature.com/gp/open-research/transformative-journals

転換契約(Transformative Agreements)

転換契約は、参加する機関がジャーナルを購読するためのアクセスとOA出版のコスト(APC)を組み合わせることを可能にする契約です。
Reference: https://www.springernature.com/gp/open-research/institutional-agreements

DOI(Digital Object Identifier)

DOI(デジタルオブジェクト識別子)は、インターネット上で機能するよう設計されているオブジェクトのデジタル識別子です。オブジェクトにDOI名を割り当てることにより、インターネットにおけるオブジェクトの場所やオブジェクトに関する情報の場所など、オブジェクトの最新情報にいたる解決可能で永続性のあるネットワークリンクが提供されます。
シュプリンガー・ネイチャーでは、私たちが出版するすべてのコンテンツは、簡単に識別でき、インターネット上のその場所への永続的なリンクがあるべきだと考えています。そのために、適切なコンテンツにはすべてDOIを付与し、参考文献リストには参照した論文のDOIを記載しています。参考文献リストは現在、オープンに公開されています。
References: https://www.doi.org/
https://www.springernature.com/gp/policies/publishing-policies

書籍出版料(BPC;Book Processing Charge)

書籍出版料(BPC)あるいは、チャプター出版料(CPC;Chapter Processing Charge)は、オンラインでのホスティングやインデックス作成を含む、著者の作品の委託、コピー編集、校正、制作、普及、プロモーションにかかるすべての費用をカバーしています。
https://www.springernature.com/gp/open-research/journals-books/books/pricing

ネイチャー・ポートフォリオのオープンアクセス

私たちは、研究者、機関、資金分配機関、そして広く一般の人々のために、オープンリサーチとそれがもたらす恩恵の実現に向けて全力で取り組んでいます。

研究者インタビュー

Springer Natureのオープンアクセス(OA)ジャーナル、またはオープンチョイスで研究論文を出版された著者の方の声をお届けします。

   

undefined undefined

田中 友香理

関西大学大学院心理学研究科 日本学術振興会特別研究員RPD
論文掲載誌:Humanities and Social Sciences Communications

undefined undefined

増田 健

国立がん研究センター 中央病院 呼吸器内科 医員
論文掲載誌:Journal of Cancer Research and Clinical Oncology 

undefined undefined

中島 裕美子

産業技術総合研究所・触媒化学融合研究センター・ケイ素化学チーム
論文掲載誌:Communications Chemistry

undefined undefined

古月 文志・坂田 一郎・Wei Gong

東京大学
論文掲載誌:Communications Chemistry