用語集

オープンサイエンスは急速に進化を続けています。新しい用語や実践が次々と登場しており、全体像をつかむのが容易ではありません。本用語集は、そうした皆さまをサポートするため、主要な概念やキーワードをわかりやすく簡潔に解説します。さらに、用語の説明に加えて、より理解を深めるための参考リンクも紹介しており、興味のあるテーマをさらに掘り下げて学ぶことができます。

オープンサイエンスに初めて触れる方から、知識をさらに深めたい方まで、本用語集は、オープンで透明性が高く、協働的な研究を支える「言葉」や「原則」について安心して理解・活用するための、信頼できる参考資料としてお役立ていただけます。

Accepted manuscript (AM) 

受理原稿。ジャーナルで正式な査読が行われた後に受理された原稿。“author’s accepted manuscript”、著者最終稿とも呼ばれる。受理後に行われる原稿編集(コピーエディティング)や組版などがされていないバージョンであり、通常、受理原稿は、リポジトリや著者のウェブサイトに掲載され(セルフアーカイブ可能)、ジャーナルのウェブサイトには掲載されない。なお、編集や組版が完了し、通常出版社のウェブサイトでPDFおよび/またはHTML形式で掲載される原稿はVersion of Record(VOR)、または最終公開版と呼ばれる。

参考:白書「研究者が選好する論文のバージョンに関する知見」

APC/BPC/CPC Waivers/Discounts 


APC/BPC/CPCの免除・割引。完全なオープンアクセス出版物に対する、論文掲載料(APC)書籍出版料(BPC)、またはチャプター出版料(CPC)の減額あるいは免除のこと。シュプリンガーネイチャーは経済的な必要性がある場合にAPCの割引や免除を適用することがある。 

Article processing charges (APCs) 

論文掲載料。オープンアクセス(OA)の論文に対するAPCは、査読からコピー編集、専用サーバーでの最終論文のホスティングまで、出版プロセスのすべての段階においてさまざまなコストが発生するため、著者は記事をOAで公開するために、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもと、APCを支払う必要がある。OAで公開された論文は、すべての読者がすぐに利用できるようになる。世界中の多くの研究助成機関や大学・研究機関は、APCのための資金提供を行っている。

APCの資金提供についてさらに詳しく

Author Choice 

オーサー・チョイス。ハイブリッドジャーナルにおいて、オープンアクセス出版が選択肢として提供されている場合、著者はオープンアクセスで出版することを選択できる。

Book processing charges (BPCs) 

書籍出版料(BPC)またはチャプター出版料(CPC)は、企画審査、契約、制作(XMLでの制作、スタイルに沿ったレイアウト・フォーマッティング、ゲラ作成、ePub, PDF等の電子版、印刷版の作成)、電子化および専用サーバーへの恒久的な掲載・ホスティング、Directory of Open Access Books (DOAB) や PubMed’s NCBI Bookshelf、Web of Science , Scopusなどの抄録・引用文献データベースへの収録申請、出版後のプロモーションなど、出版プロセスにおけるすべての費用をカバーする。書籍(チャプター)はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもとでOAで即時公開され、すべての読者が利用できる。世界中の多くの研究助成機関や大学は、BPCに対する資金提供を行っている。 

Centralised funding 

集中型資金提供。オープンアクセス出版に伴う論文掲載料(APC)等を個々の著者ではなく、資金提供機関や大学が負担する資金モデル。これはしばしばオープンアクセス(OA)契約を通じて実現される。

Chapter processing charges (CPCs) 

書籍出版料(BPC)またはチャプター出版料(CPC)は、企画審査、契約、制作(XMLでの制作、スタイルに沿ったレイアウト・フォーマッティング、ゲラ作成、ePub, PDF等の電子版、印刷版の作成)、電子化および専用サーバーへの恒久的な掲載・ホスティング、Directory of Open Access Books (DOAB) や PubMed’s NCBI Bookshelf、Web of Science , Scopusなどの抄録・引用文献データベースへの収録申請、出版後のプロモーションなど、出版プロセスにおけるすべての費用をカバーする。書籍(チャプター)はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもとでOAで即時公開され、すべての読者が利用できる。世界中の多くの研究助成機関や大学は、BPCに対する資金提供を行っている。 

Creative Commons (CC) 

クリエイティブ・コモンズ。著作権者が自分の作品を他者に一定の条件のもとで自由に利用・共有・再利用できるように、意思表示をするためのライセンスの名称。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスともいう。CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布やリミックスなどをすることができる。

参考リンク

Creative Commons (CC) licence CC BY-NC-ND

CC BY-NC-ND 4.0:クリエイティブ・コモンズの表示—非営利—改変禁止4.0ライセンスに依拠するオープンアクセス。原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的であり、そして元の作品を改変しないことを主な条件に、作品を自由に再配布できるCCライセンス。日本では、和書から英訳した書籍に使用される。英文書籍をだれかが予期せず、勝手に改変・他言語に翻訳してしまうこと等を防止する。

CC BY 4.0:クリエイティブ・コモンズの表示4.0ライセンスに依拠するオープンアクセス。原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示することを主な条件とし、改変はもちろん、営利目的での二次利用も許可される最も自由度の高いCCライセンス。

Springer Natureが提供するCCライセンスについて

Deposit/Deposition 

デポジットあるいはデポジション。論文(著者最終稿, AM)や研究データを、リポジトリやデータベースに提出・登録すること。オープンアクセスの文脈では、出版社や著者が論文を適切な形式で準備し、必要なメタデータを付与してリポジトリに送信するプロセスを含む。これにより、研究成果が広くアクセス可能になり、資金提供機関や所属機関のオープンアクセス方針に準拠できる。

Diamond open access (OA) 

ダイヤモンド・オープンアクセス。著者および読者(またはその所属機関)の双方にとって、出版も閲覧も無料であるオープンアクセス出版モデル。論文掲載料(APC)は、大学、研究機関、助成金などの他の資金源によって賄われる。

Double dipping 

ダブルディッピング、二重取り。ハイブリッドジャーナルにおいて、出版社が著者にオープンアクセスで個別論文を出版するための論文掲載料を請求しながら、購読料から減額しない場合に発生するもの。これは、同じコンテンツに対して出版社が二重に料金を請求すること、つまり読者(またはその所属機関)は購読料を支払い、著者は論文掲載料を支払うことになる。シュプリンガーネイチャーは、厳格な「ダブルディッピング禁止ポリシー」を採用している。

Embargo period 

エンバーゴ期間。あるいは公開猶予期間とも言う。最終公開版(Version of Record)が出版されてから、受理原稿(accepted manuscript)を資金提供機関や大学のリポジトリで公開できるようになるまでの期間。エンバーゴ期間の長さはジャーナルによって異なるが、通常は6か月または12か月である。

Fully open access (OA) 

完全オープンアクセス。すべての研究論文が読者に無料で提供される出版モデル。著者は出版コストを賄うために論文掲載料(APC) を支払う。ハイブリッドジャーナルとは異なり、完全オープンアクセスジャーナルには購読型コンテンツが一切含まれない。

Fully open access (OA) agreement 

完全オープンアクセス(OA)契約。完全オープンアクセスジャーナルにおける出版費用をカバーするタイプのオープンアクセス契約

Fully open access (OA) journals 

完全オープンアクセスジャーナル。すべてのコンテンツがオープンアクセスで出版され、オンラインで自由かつ即時に利用可能なジャーナル。オープンアクセスコンテンツは誰に対しても開かれており、アクセス料は一切発生しない。

Funding and policy support service 

資金およびポリシーサポートサービス。シュプリンガーネイチャーが提供する無料のサポートサービスであり、著者がオープンアクセス出版費用(論文掲載料書籍出版料)をカバーするための資金を見つけ、申請することを支援している。 

Gold open access (OA) 

ゴールド・オープンアクセス、ゴールドOA。出版社のプラットフォーム上で論文や書籍をオープンアクセスとして出版することにより、研究成果をすべての人に公開するためのルート。ゴールドOAで出版されたコンテンツは、通常オープンライセンス (例:CC BY)のもと、出版と同時に即時アクセス可能であり、論文掲載料の支払いが必要となる場合が多い。グリーンOAとは異なり、ゴールドOAは最終公開版(Version of Record)へのアクセスを提供し、購読収入に依存しない。

Green open access (OA) 

グリーンオープンアクセス、グリーンOA。オープンアクセスのリポジトリなどにアーカイブされた原稿。おもに、原稿編集(コピーエディティング)や組版前の査読後の著者の受理原稿(Accepted manuscript)のことを指し、エンバーゴ期間後にアクセス可能になる。エンバーゴ期間とは、論文の受理原稿をグリーンオープンアクセスでリポジトリなどに公開するまで著者が待たなければいけない期間。エンバーゴ期間は、ジャーナルによって異なり、6か月~12か月と幅がある。

Hybrid journal 

ハイブリッドジャーナル。著者に対して、論文単位でオープンアクセス出版のオプションを提供する購読型ジャーナルのこと。著者は論文が採択された後に、オープンアクセスにするかどうかを選ぶことができる。オープンアクセスで出版する場合には、APCの支払いが発生するが、昨今ではAPCが機関などによって支援される転換契約が増加している。シュプリンガーネイチャーの購読型ジャーナルのほとんどは、論文単位のオープンアクセス(「ハイブリッドOA」と呼ばれる)を提供している。

参考:Assessing the open access effect for hybrid journals


License to publish 

出版ライセンス。著者と出版社の間で締結される契約であり、出版社に対して成果物の出版、配布、著作権管理の権利を付与する一方で、著者は著作権に基づく権利を保持するものである。シュプリンガーネイチャーが使用するすべてのライセンスは、出版物を再利用する際に、すべての著者および文献のバージョンがクレジットされることを要求しており、著者が常にその業績を認識されるようになっている。

Non-OA content 

非オープンアクセスコンテンツ。購読モデル(「従来型モデル」とも呼ばれる)で出版される研究成果であり、アクセスはジャーナル購読者に限定される。受理原稿(accepted manuscript)は通常、エンバーゴ期間後にのみセルフアーカイブが可能。論文掲載料(APC)は不要だが、一部のジャーナルではカラーチャージ(カラー印刷料)が適用される場合がある。 

Open access (OA) 

オープンアクセス。研究成果を出版時から無料で誰でもアクセスできるようにするための原則と仕組み。OAは、ジャーナルに掲載された論文や書籍などの研究成果をオンラインで無料で即時利用できるようにし、デジタル環境でフルに利用する権利を提供する。OAコンテンツはすべての人に公開され、アクセス料金はかからない。 

Open access agreement 

オープンアクセス契約。シュプリンガーネイチャーと大学・研究機関、コンソーシアム、企業顧客との間で締結される取り決めで、所属する著者の論文掲載料(APC)を部分的または全額負担するもの。シュプリンガーネイチャーにおけるオープンアクセス契約には、主に転換契約完全OA契約の2種類がある。

OA book partnerships 

OAブック・パートナーシップ。シュプリンガーネイチャーとのOA契約であり、所属機関の著者や、その機関から研究助成を受けている著者に対して、書籍出版料(BPC)チャプター出版料(CPC)を部分的または全額負担できるようにするもの。

Open Choice 

オープンチョイス。著者がシュプリンガーネイチャーの購読型ジャーナルの大半でオープンアクセス出版を選択できるようにする仕組みであり、その名称。詳しくは、Hybrid Journalの項を参照。

Open code 

オープンコード。シュプリンガーネイチャーは、透明性と新しく開発されたコードの公開共有に基づき、ジャーナルや書籍に対して標準的な研究コードポリシーを設けている。このポリシーは、研究の一環として開発されたすべての新しいコンピュータプログラムコード、ソフトウェア、マクロなどに適用され、論文、章、書籍で報告された結論を解釈し再現するために必要なものを対象としている。

Open data 

オープンデータ。すべての人が無料で利用、再利用、再配布できるデータのこと。論文や書籍に関連する基礎研究データには、オープンに共有できるものが数多く存在する。研究の種類や分野によって、データはテキスト、音声、画像など、ほぼあらゆる種類のファイルを意味し、質的、量的、アナログ、デジタルのいずれの場合もある。研究を支えるあらゆる成果物は価値あるデータである。オープンに共有することが義務付けられているデータタイプについては、研究データポリシーを参照。

OA fee 

OA料金。論文掲載料(APC)を参照。 

Open protocols 

オープンプロトコル。プロトコルとは、実験や手順の実施方法、またはデータ収集の方法を正確に説明するための計画書やステップごとのガイド。データやコードとともに、プロトコルはオープンサイエンスの重要な要素を構成し、研究者が互いの研究を正しく解釈し、再現し、発展させ、検証することを可能にする。

Open research

オープンリサーチ。データ、プロトコルやコードなど、すべての研究成果を無料で、即時に、オンラインで利用できる状態にすることであり、最良の研究実践のアイデアの形態。

Open Science (OS)

オープンサイエンス。研究サイクル全体に「オープン」の原則を広げ、可能な限り早い段階で共同研究や情報共有を促進する取り組み。科学や研究のあり方を体系的に変革するだけでなく、より発見しやすく、利用しやすく、効果的な研究システムを支え、知識の創出を加速させる目的を持つ。オープンサイエンスの枠組みには、オープンアクセス、オープンデータ、オープンリサーチが含まれる。研究者にとっては、自身の研究から生じるすべての成果物を公開する実践であり、これには、出版物やプレプリント、データ、コード、プロトコル、メソッドが含まれる。さらにオープンピアレビューといった取り組みも存在する。

OA transition

オープンアクセスへの移行。出版社または機関が、従来の購読型出版モデルからオープンアクセスへ移行し、学術研究を一般に無料で利用可能にすることを進める取り組み。

Publish and read / PAR / P&R 

「パブリッシュ・アンド・リード」またはPARと呼ばれる料金モデル。オープンアクセス出版の費用と、出版社のジャーナルポートフォリオへの閲覧アクセスの両方をカバーする統合型の支払いモデルを指す。


Publishing model 

出版モデル。出版社が、読者が公開された研究にどのようにアクセスできるかを決定するために用いる特定の方法である。これには、購読、オープンアクセス、または単発購入などが含まれる。

Publish subscription 

購読型出版。非オープンアクセスコンテンツを参照。


Repository 

リポジトリ。論文、書籍、報告書などの学術的な成果を掲載し、保存するための機関などのデジタルプラットフォーム。シュプリンガーネイチャーは、各分野において広く認識されているリポジトリにデータを掲載することを推奨している。

Self-archiving 

セルフアーカイビングまたはセルフアーカイブ。著者が、査読後に受理された原稿(Acceoted Manuscript, AM)を、エンバーゴ期間終了後にオンラインで公開するプロセス。シュプリンガーネイチャーは、購読モデルで出版されたAMのセルフアーカイビングを認めており、個人のウェブサイトまたは資金提供機関・所属機関のリポジトリに、エンバーゴ期間終了後に公開することを許可している。ゴールドオープンアクセスで出版する著者には、出版社のプラットフォームに掲載されている最終版の公開PDFへのリンクを、所属機関のリポジトリまたは適切な分野別リポジトリに、出版時に登録することを推奨している。

Subscription content  

購読コンテンツ。非オープンアクセスコンテンツ参照。

Subscription journal 

購読型ジャーナル。購読モデル(「従来型モデル」または「非オープンアクセスモデル」とも呼ばれる)で論文を出版する選択肢を著者に提供するジャーナル。この場合、論文はジャーナルの購読者のみが利用可能となる。著者は論文掲載料(APC)を払う必要はないが、一部のジャーナルではページチャージやカラーチャージが適用される場合がある。

Transformative agreement (TA) 

転換契約。オープンアクセス契約の一種であり、参加する機関がジャーナルを購読するためのアクセスとOA出版のコスト(APC)を組み合わせることを可能にする契約。 

参考:日本の転換契約

Version of Record (VoR)

最終公開版の論文。紙媒体および、またはオンラインでジャーナルに掲載されるバージョン。原稿編集(コピーエディティング)や組版など、査読が完了した受理原稿をできるだけ明快で理解しやすくするために編集が行われる原稿。通常、出版社のウェブサイトでPDFおよび、またはHTML形式で掲載。

参考:白書「研究者が選好する論文のバージョンに関する知見」