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【Springboard】オープンアクセスからオープンリサーチへ:25周年にわたるBMCの革新的な出版を祝して

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BMCの25周年を記念し、BMCのPublishing DirectorsであるKatie Ridd(ケイティ・リッド)とSelene Carey(セリーヌ・キャリー)がBMCがオープンアクセスとオープンサイエンスにおいて果たしてきた、そして今も果たし続けている役割について詳しくお話しします。

2025年10月23日

Research Publishing
著者:Katie Ridd(ケイティ・リッド)、Selene Carey(セリーヌ・キャリー)

25年前、BioMed Central(現BMC)は大胆な使命を掲げて設立されました。それは、質の高い研究のリーチ、アクセシビリティー、および利用を拡大することです。初めての商業オープンアクセス(OAOpen Access)出版社であるBMCは、今日見られる多くのOA方針や原則の基盤を築く一助となりました。

現在、OAは出版の標準となり、オープンデータ、早期共有、透明性のある手法を取り入れるまでに進化しています。このより広範なオープンサイエンスのビジョンを支援することは、BMCおよびBMCが属するシュプリンガーネイチャーにとってきわめて重要です。

BMC25周年を記念し、BMCPublishing DirectorsであるKatie Ridd(ケイティ・リッド)とSelene Careyセリーヌ・キャリー)にお話を伺いました。BMCがオープンアクセスとオープンサイエンスにおいて果たしてきた、そして今も果たし続けている役割について詳しく聞きしました。

KatieSelene、今回はお時間をいただきありがとうございます。25周年はBMCにとって重要な節目です。まずは創業期に遡りましょうか。当時のオープンアクセス分野において、BMCはどのような役割を果たしたのでしょうか?

当時はオープンアクセスが出版の標準とは見なされておらず、むしろ例外的な存在でした。オープンアクセスの役割、価値、およびインパクトに関する認識は、まだ高まりつつある段階でした。BMCは、先駆的な役割を果たし、持続可能なOA出版手法の確立を支援するとともに、あらゆる研究成果におけるオープンスタンダードの価値に関する認識を高め、最終的には学術出版の世界を変える革新的なアプローチを推進しました。私たちは、著者が自身の研究成果を持続可能な方法で共有、アクセス、利用、および再利用できるよう支援しました。

また、出版モデルに関わらず高品質で信頼性の高い研究を確保するという私たちの取り組みを示すため、専門の研究公正チームを設置した最初の出版社でもありました。

2008年にBMCがシュプリンガーに買収されたことは、当社だけでなくOA全体にとって重要な節目となりました。これは、明確な投資とコミットメントの表れであり、OAが実現可能で研究の未来を拓く道であるという理解が示された瞬間でした。今日、当社の革新と品質への取り組みは受け継がれ、全社をあげてOAがすべての研究者にとって実現可能な選択肢となるよう、積極的に貢献し続けています。

当社のジャーナルポートフォリオは拡大を続け、画期的な研究からニッチなコミュニティー向けの研究まで幅広く支援しています。包括的な科学実践を通じて、研究環境全体の公平性を支える確固たる研究すべてに場を提供することを目指しています。今後25年間のBMCは、OAの世界的拡大が続く中で、コミュニティーと連携し、必要なリソースを提供することに注力する、刺激的で興味深い時代となるでしょう。

オープンリサーチに関するより広範な議論については、すでに触れられています。BMCでは、研究者がオープンリサーチを実践しやすくするために、どのような施策を採用されていますか?

研究のあらゆる側面をオープンにすることは、個々の著者だけでなく、学術コミュニティー全体に利益をもたらします。BMCでは、研究者がオープンな実践を持続可能かつシームレスに、出版ワークフローの不可欠な一部として取り入れることを支援することに尽力しています。また、出版業務のあらゆる側面において、世界中の著者の地理的多様性を反映させることで、参加の障壁を取り除く取り組みも行っています。これには、多様な編集チームへの投資や、編集委員会がサービスを提供するコミュニティーを代表するよう確保することが含まれます。

オープンリサーチの実践

当社のジャーナルでは、再現性の促進、データの再利用の奨励、研究の無駄の削減につながる、研究ノート、データノート、研究プロトコル、およびregistered reports(査読付き事前登録研究論文)など、幅広い論文タイプを提供しています。透明性は、BMCにおいて常に中核的な価値観となっています。当社は、1999年にオープンピアレビュー(open peer review)を導入した先駆的出版社の一つであり、著者と査読者の対話を可視化し、論文がプロセスを通じてどのように改善されたかを示す透明性のある査読を推進しています。さらに、結果や影響力の有無にかかわらず、否定的な結果や研究デザインを公表する場を提供しています。これは再現性を支援し、出版バイアスを軽減することで、貴重な知見が失われることを防ぎます。

オープンリサーチの原則

論文形式を超え、当社のオープンリサーチへの取り組みは業界全体の原則と方針の採用にまで及びます。FAIR原則(「Findable(見つけられる)」、「Accessible(アクセスできる)」、「Interoperable(相互運用できる)」、「Reusable(再利用できる)」)を支持し、著者がデータセットを公共リポジトリーに保存することを推奨しています。過去よりデータ利用可能性ステートメント(data availability statement)の強力な提唱者であり、現在はシュプリンガーネイチャーの査読プラットフォーム「Snapp(Springer Nature’s peer review platform)」を活用し、投稿時にデータ利用可能性情報を収集しています。これにより、編集者や査読者は査読過程で補足データにアクセス可能となり、研究公正の強化、資金配分機関の要請への対応、およびコミュニティーの期待に応えるとともに、地域間のインフラ格差にも配慮しています。

今後の展望として、BMCの次なる取り組みはどのようなものでしょうか。

BMCは常に人中心かつコミュニティー重視の出版アプローチを採用してまいりました。コミュニティーの声の重要性を認識し、新ジャーナルの構想策定やコレクションのテーマ提案においては編集者と協働して取り組んでいます。これらすべての核心にあるのは、著者様にとって効率的で信頼性が高く、価値ある出版体験とワークフローを提供するという当社の確固たる姿勢です。

出版環境が変化し続ける中、私たちはコミュニティーとの緊密な連携を継続し、研究者が必要とするツール、ポリシー、およびプラットフォームを提供してまいります。これには、出版プロセスの効率化、研究品質の向上、および著者と読者双方へのアクセシビリティー改善を実現するツールへの投資が含まれます。また、AI(Artificial Intelligence;人工知能)などの技術的進歩を活用し、倫理や研究公正の実践に関する取り組みを適応させる方法も模索します。これにより、重複テキストやAI生成テキスト、撤回された参考文献を特定し、不正研究の検知が可能となります。こうすることによって、BMCは現代の出版環境においても信頼性の高い質の高い論文を継続して出版してまいります。

毎月600万人以上のユーザーがBMCのウェブサイトを訪問されており、これは私たちが出版する研究の信頼性と価値を証明するものです。25年前の先駆的な精神を体現し続けながら、より連携が取れ、研究者主導のオープンな研究エコシステムを構築することで、ユーザーの皆様への提供に注力してまいります。私たちは、これまでの実績を誇りに思い、未来に胸を躍らせております。シュプリンガーネイチャーとともに、BMCは今後もオープンリサーチとオープンアクセスを形作る先導役であり続けるとおともに、常に研究者をすべての活動の中心に据えてまいります。

https://www.youtube.com/watch?v=YOmzY9m_vBI

著者:Katie RiddSelene Carey

Katie Riddは、BMCのPublishing Directorをつとめています。Selene Careyとともに、BMCのジャーナルポートフォリオ全体の責任を担っています。

Katieは17年前、Nature Protocols の編集者として編集・出版キャリアをスタートさせました。Nature Communications の創刊編集チームの一員として、Katieは生物科学編集者をつとめましたが、その後数年はがん研究に焦点を当ててきました。Katieは、2022年6月にBMCのPublishing Directorとして加わり、BMC Methodsのような多様な研究成果を掲載するジャーナルや、BMC AgricultureBMC Marine Sciencesのような持続可能な開発目標に取り組むジャーナルを含む、ポートフォリオの成長を統括してきました。

Selene Carey、シュプリンガーネイチャー傘下のBMC Academic JournalsにおけるPublishing Directorをつとめ、250誌を超えるオープンアクセス研究ジャーナルのポートフォリオの戦略的成長と発展を主導しています。学術出版分野で20年以上の経験を持つSeleneは、オープンアクセス出版の推進と、学術コミュニケーションにおける信頼性と透明性の醸成に深く尽力しています。

Springboard blogについて

Springboard blog(シュプリングボード・ブログ)は、オープンリサーチを推進するため、シュプリンガーネイチャーおよびそのパートナーからの最新の見解、コメント、ディスカッションを紹介するプラットフォームです。詳細は、Springboard blogのウェブサイトをご覧ください。

シュプリンガーネイチャーについて

シュプリンガーネイチャーは、世界をリードする研究出版社のひとつです。当社は、最も多くのジャーナルや書籍の出版数を誇り、オープンリサーチのパイオニアでもあります。180年以上にわたって信頼されてきた主要ブランドを通じて、研究者が新たなアイデアを見いだしてそうした発見を共有すること、医療従事者が医学の最前線に立ち続けること、教育者が学習を促進することを支援するテクノロジーを活用した製品、プラットフォーム、およびサービスを提供しています。当社は、当社が支援するコミュニティーとの協力のもと、知識を共有し、世界に対する理解を深めるための進歩に貢献していることを誇りに思っています。詳細は、about.springernature.comおよび@SpringerNatureをご覧ください。

本件に関するお問い合わせ

宮﨑 亜矢子

シュプリンガーネイチャー

コーポレート・アフェアーズ

E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

本ブログの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。
英語:From open access to open research: Celebrating 25 Years of BMC’s publishing innovation

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