【プレスリリース】シュプリンガーネイチャーの2024年オープンアクセス(OA)報告書は、著者にとっての価値が向上していることを明らかにしています
第4回年次OA報告書は、OAの責任ある成長とグローバルな公平性への進展を示しています。
ベルリン|ロンドン|ニューヨーク 2025年7月31日
シュプリンガーネイチャーは、オープンアクセス(OA:Open Access)出版とアクセスにおける進捗状況を透明性のあるデータにもとづき [1] 、概要としてまとめた、第4回年次オープンアクセス(OA)報告書(2024 Open Access Report)を発表しました。同社初の先駆的な転換契約(TA:Transformative Agreement)の締結から10周年を迎えるにあたり、報告書は、同社の責任ある取り組みが著者のビジビリティーとインパクトを継続的に高めていることを明らかにしつつ、より包括的で持続可能なOA移行を支援するため、コミュニティー全体の協力を呼びかけています。
本報告書のおもなポイント:
- 著者のインパクトの向上 – シュプリンガーネイチャーの完全OAジャーナルに掲載された論文は、平均6.3回引用され、ハイブリッドジャーナル(mixed model)やオープンアクセスジャーナル専業(pure OA)出版社よりも高い数値を記録しました。OA書籍とジャーナルのコンテンツのダウンロード数は2024年に31%以上増加しました。
- 世界的なリーチの拡大 – OAコンテンツのダウンロード数は、中低所得国(LMIC:Lower Middle Income)で21%、低所得国(LIC:Lower income countries)で14%増加し、世界中の研究者のアクセス拡大を反映しています。
- 転換契約がOAを加速 – シュプリンガーネイチャーの転換契約により、契約対象外の機関から出版された場合に比べて、約10倍のゴールドOA論文が出版されました。これは、2023年の7倍から増加しています。2015年以降、転換契約は年間平均42%のペースで拡大し、現在では世界中の3,700を超える機関の著者を支援しています。
シュプリンガーネイチャーのChief Publishing OfficerであるHarsh Jegadeesan(ハーシュ・ジェガデサン)は、次のように述べています:
「私たちは、オープンアクセスにおいて達成したマイルストーンと、よりオープンな研究エコシステムの構築を支援する役割に誇りをもっています。しかし、報告書が示すように、このグローバルな転換は複雑であり、すべてのステークホルダーの責任あるコミットメントが必要です。
私たちの焦点は、研究者、機関、または国が取り残されないようにしつつ、研究の信頼性と信憑性を維持し、世界中の科学者やイノベーターが知識を基盤に世界の最も緊急の課題に取り組むことができるようにすることです。」
報告書全文は、こちらからアクセスいただけます。また、2024年、2023年、および2022年の完全オープンアクセス報告書もご覧いただけます。シュプリンガーネイチャーの年次報告書とあわせて、当社の出版プログラムにおける透明性と説明責任への継続的なコミットメントを反映しています。
シュプリンガーネイチャーのオープンアクセスへの広範な取り組みと、当社の完全オープンアクセスサービスに関する詳細は、Open access journalsのページからご覧いただけます。
注釈
[1] この報告書は公開されているデータにもとづいて作成されています。出典にはDigital Science、Dimensions、Clarivateの2021年Journal Citation Reports、およびWeb of Science InCitesが含まれます。
関連するリンク
【お知らせ】シュプリンガーネイチャーのオープンアクセスに関する最新のファクトシート(2025年版)を公開
- 転換契約:一般的には、論文の閲覧のために大学などが出版社に対して支払う費用を、論文出版のための費用(論文掲載料、APC;Article Processing Charge)へと段階的に転換させ、それによって論文のオープンアクセス出版の拡大を目指す契約のことを指します。
- オープンアクセス(OA;Open Access):研究成果が出版時に無料でアクセスすることを可能にするための一連の原則と実践方法。OAは、ジャーナルに掲載された論文や書籍などの研究成果をオンラインで無料で即時利用できるようにし、デジタル環境でフルに利用する権利を提供します。
- ハイブリッドジャーナル:購読型ジャーナルのうち、受理された論文をゴールドオープンアクセスで出版するオプションを著者に提供するジャーナル。オープンアクセスで出版する場合には、APCが発生します。
- ゴールドオープンアクセス(ゴールドOA):出版社のプラットフォームにおいて、論文や書籍をオープンアクセスで出版するルートです。ゴールドOAで出版された論文は、掲載後ただちにオープンアクセスとなり、プラットフォーム上にて無料で閲覧可能となります。ゴールドOAでは、原稿編集(コピーエディティング)や組版後の最終公開版(VOR;Version of Record)にアクセスできるようになります。ゴールドOAの出版は、論文掲載料(APC;Article Processing Charge)や転換契約によって賄われています。
- 論文掲載料(APC;Article Processing Charge):オープンアクセス(OA)の論文に対するAPCは、査読からコピー編集、専用サーバーでの最終論文のホスティングまで、出版プロセスのすべての段階においてさまざまなサービスをカバーしています。これに加えて、こちらの料金により、論文がクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもと、オープンアクセスで公開され、すべての読者がすぐに利用できるようになります。
出版にはコストがかかります。購読ジャーナルは、コンテンツにアクセスするための料金の徴収によって出版費用がカバーされています。ゴールドオープンアクセスのコンテンツは、どなたでも無料で自由にアクセスできるため、出版費用は論文掲載料(APC)によって賄われます。APCは、論文が受理されてから出版されるまでの間に支払われ、それぞれの出版社、ジャーナル、分野によってAPCが異なります。また、掲載料や出版料を学会などのスポンサーが負担することで、APCを徴収しないジャーナルもあります。APCには、論文全文への永続的、即時的かつ世界中からのアクセスの提供に加えて、下記が含まれます。- 編集作業:査読、管理サポート、コンテンツの委託、ジャーナルの開発。
- 技術的なインフラストラクチャーとイノベーション:オンラインジャーナルシステムやウェブサイトの開発、メンテナンス、運用。
- 論文の制作:論文のフォーマット、マークアップ(タグ付け)、インデックスサービスへの登録。
シュプリンガーネイチャーは、世界をリードする研究出版社のひとつです。当社は、最も多くのジャーナルや書籍の出版数を誇り、オープンリサーチのパイオニアでもあります。180年以上にわたって信頼されてきた主要ブランドを通じて、研究者が新たなアイデアを見いだしてそうした発見を共有すること、医療従事者が医学の最前線に立ち続けること、教育者が学習を促進することを支援するテクノロジーを活用した製品、プラットフォーム、およびサービスを提供しています。当社は、当社が支援するコミュニティーとの協力のもと、知識を共有し、世界に対する理解を深めるための進歩に貢献していることを誇りに思っています。
詳細は、about.springernature.comおよび@SpringerNatureをご覧ください。
宮﨑 亜矢子
シュプリンガーネイチャー
コーポレート・アフェアーズ
E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com
※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。
英語プレスリリース:Springer Nature’s 2024 Open Access (OA) report highlights growing value for authors