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【注目のハイライト】微生物学:エッツィのマイクロバイオームには依然として活動の兆候が見られる

5300年前の「エッツィ・ジ・アイスマン(Ötzi the Iceman)」の遺体には、古代と現代の両方の微生物が存在しており、その一部は代謝的に活発である可能性があることを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルMicrobiome に掲載される。この発見は、遺体を保存するために現在用いられている手法が、ほとんどの微生物の増殖を抑制している一方で、保存環境下で繁殖できる一部の生物を維持している可能性を示唆している。

アイスマンは、1991年、オーストリアとイタリアの国境にあるエッツタール・アルプス(Ötztal Alps)で発見され、そのミイラ化した遺体は発見時の環境を再現するため、摂氏マイナス6度で保存されている。しかし、こうした保存条件が、遺体の保存状態に影響を及ぼす可能性のある微生物の増殖を阻止しているかどうかは不明である。

Mohamad Sarhan、Frank Maixnerら(Eurac Research〔イタリア〕)は、ミイラ化した遺体から採取した皮膚ぬぐい液、組織片、および内部の解凍水サンプルに含まれる細菌と真菌を分析した。著者らは、これらを、発見現場から採取され1991年に保存された土壌および氷のサンプルと比較した。

シュードモナス属(Pseudomonas)の細菌は、すべてのサンプルおよび時点に存在していた一方、おもにクロストリジウム属(Clostridium)の細菌からなる嫌気性細菌群集は、すべての時点の内部組織サンプルに存在していた。DNA損傷のレベルにもとづき、著者らはこれらの細菌が発見現場由来の古くからの群集に属すると示唆している。また、著者らは、2019年に採取されたサンプルから、寒冷環境に適応したフェノリフェリア(Phenoliferia)、グラシオジマ(Glaciozyma)、ゴッフェオジマ(Goffeauzyma)、およびムラキア(Mrakia)に属する4種の酵母を分離した。DNA損傷レベルにもとづくと、これらは遺体が解凍された後に蘇生した個体、あるいはこれらの古代酵母の子孫である可能性がある。グラシオジマの個体数は、2010年以降増加している一方で、そのDNA損傷レベルは低下しているため、代謝が活発であるか、あるいは現在の保存条件下でも増殖が可能であると考えられる。

ゲノム解析の結果、グラシオジマ、ムラキア、およびクロストリジウム群には、タンパク質、コラーゲン、および脂質分解酵素をコードする遺伝子が含まれていることが判明した。一方、シュードモナス、Glaciozyma watsoniiPseudogymnoascus pannorum、およびPhenoliferia glacialisには、遺体の保存に歴史的に使用されてきた消毒剤であるフェノールを分解するために必要な遺伝子が含まれている。これは、微生物群集が組織を分解する酵素を産生する可能性があり、一部の消毒手順に耐えられるかもしれないことを示唆しているものの、著者らは、これまでのところ遺体の損傷を示す証拠は観察されていないと強調している。

著者らは、微生物群集が休眠状態から活発な組織分解状態へと移行する可能性を将来的に検知するため、積極的なゲノム監視および継続的モニタリングの実施を推奨している。

Article details

Research | Open access | Published: 3 June 2026

Sarhan, M.S., Samadelli, M., Zink, A. et al. The Iceman’s microbiome: unveiling millennia of microbial diversity and continuity. Microbiome 14, 135 (2026). https://link.springer.com/article/10.1186/s40168-026-02417-6

「注目のハイライト」は、シュプリンガーネイチャーの広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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